「子どもができない」日本の不妊は世界を見渡しても深刻です
いくつもの要因が重なりあって成立する妊娠。“生命の神秘”と言われるように、母子ともに健康な状態で妊娠・出産することは、私たちが思っている以上にとても奇跡的なことです。「子どもができない」「子どもが欲しい」と願っている夫婦はたくさんいますが、日本ではそういった悩みをオープンに話せる機会が他の国に比べて少ないことも課題と言えるでしょう。
主な不妊治療クリニックの数を主要国で比べた場合、日本は世界でも稀にみる数値になっています。データによると、ここ数年で人口の多い団塊ジュニア世代が40代にさしかかる中、不妊治療を行うクリニック数は約600軒。これは、米国の500軒弱、中国の300軒を上回る世界一の軒数です。さらに、体外受精や顕微授精などの治療件数でも、日本は世界的にも高いとされています。今や「新生児の27人に1人は、体外受精児」という時代が到来しています。(※参考データ:厚生労働省「不妊治療をめぐる現状 体外受精による出生児数の推移」)
約600軒のクリニックがあると言われる日本
婦人科での検査や不妊治療をためらっている男性へ
男性のための男性妊活外来があります!
「自分の精子は大丈夫だろう」と思っていませんか?
男性がブライダルチェックを受けて、精子に何らかの問題が見つかった方の割合は、17%にも及びます。※参考:第63回日本生殖医学学会学術講演会「妊活開始時、既に性行為が困難な男性とは?」(2018年11月)辻村医師 発表
『自分は大丈夫だろう』と思っていた方に精子トラブルが発覚しており、自覚できていないケースがほとんどです。
油断大敵。自分の状態を早めに知る事が大切です。
男性側も専門クリニックできちんと調べる時代へ
世界で初めて体外受精児が誕生したのは1978年、イギリスでのことでした。これによって、不妊治療の技術や認識が大きく変わり、人口減少に歯止めをかける意識が生まれ始めたのです。
ただし日本では、少子高齢化によって生殖可能な年齢層の男女数が年々減少し、出生数も大きく減りました。毎年100~110万人の子どもたちが生まれる一方で、不妊治療による出生は増加。女性の社会進出、出産・育児に関する環境設備の不足によるダメージも受けて、どんどん晩婚化・晩産化が深刻になっているのは言うまでもありません。
この話題が取り上げられる際、その原因を女性側だけにクローズアップされて原因究明・解決策を議論されているのも、男性の不妊治療の意識を遠ざけている要因かもしれません。男性と女性、ほぼ同じ割合で不妊の原因を作っているにも関わらず、現代女性が抱える不妊の悩みとして捉えられている風潮があるようです。
不妊治療に関する男女差・違いをチェック!
男性 | 女性 | |
---|---|---|
妊娠に対する 年齢制限 |
加齢とともに勃起能力は低下するものの、バイアグラなどの対処法もあり | 平均的に35歳を境に、妊娠率は大きく低下 |
男女それぞれに対する不妊治療法 | まだ発展途上の段階にあるといえる | 比較的確立されているといえる |
通いやすい クリニックの数 |
圧倒的に少ない、認知度も低い | 多い、情報も得やすい |
不妊治療への 周囲の理解度など |
理解度はほとんどない、治療に通うための環境作りが難しい | 理解度はある、ただしプレッシャーや肉体的負担が大きい |
社会的サポート | 認知度を上げることが課題。体制作り・理解が必要 | さらなる向上が必要。環境作り、支援なども必要 |
男性側もチェックすることで、不妊治療の効率は格段に上がります
世界では不妊症が進み、“晩産化”が進む日本においても、不妊は深刻な問題です。WHO(世界保健機構)が行った調査では、男性のみに原因があるケース・男女双方に原因があるケースはともに24%ずつで、男性因子が絡むケースが不妊症例の約半数にも上っています。
しかし、日本で不妊症治療を行っているのは婦人科医のクリニックが大半。そこに男性の姿を見ることは多くありません。不妊症は、女性の問題というイメージが根強く、妻ひとりで病院に行くことが多いのが現状です。また、平日の昼間しか開いていないクリニックが多く、仕事を持つ男性が診察を受けにくかったり、女性ばかりの病院に来院しづらかったりということも男性を遠ざけている理由でしょう。
男性専用の妊活外来があります
こういった現状を打開するために設立されたのが、男性専用のクリニックです。これまで女性ばかりの空間で違和感を感じて躊躇していた不妊検査も、男性が足を運びやすい空間を提供することで、スムーズに検査・診療と向き合うことができると考えています。また、医師による診察・治療も男性側の身体的能力を細かく把握した上で、適切な処置を短時間で行うことが可能。
信頼できる医師と話を進める中で、夫婦で取り組む不妊の悩みを効率的に進めることができます。
不妊治療は、男性の治療の受けやすさも考慮しながら、夫婦で協力して行なうことが大切です。
人工授精、体外受精、顕微(けんび)授精を理解していますか?
最近、晩婚化の話題に関連して妊娠や出産に関わるニュースが報じられることが多くなってきました。何度か耳にして気にはなっているけど、じつのところ実際に病院で行われる不妊治療の方法について、一つひとつ詳しくは分からない…という方も多いのではないでしょうか?治療法で似たような言葉が多く、混同してしまっていることもあるかもしれません。
そこで、女性・男性に関わらず、妊活中の皆さんに知識としても知っていただきたい主な不妊治療の内容と、そのプロセスをそれぞれにまとめてみました。一つひとつを理解していきましょう。
人工授精【じんこうじゅせい】
精液を採取して、柔らかいチューブの注射器で女性の子宮の
奥まで注入し、自然な方法で妊娠しやすくする方法です。
男性の精子の数が少ない、運動率が低い、膣内で射精ができない、子宮頸管粘液の分泌不足などがある場合など、原因不明の不妊症に対して行います。不妊治療といっても、膣より奥の子宮の中まで精子を入れる方法ですので、人工授精は自然な妊娠プロセスに近いといえるでしょう。
通常のセックスでは、精子は膣内に射精された後、自力で子宮の中に進んでいきます。しかし、子宮の入口で大量の精子が死んでしまうため、最初の関門となる精子の入口の通過を人工的に手助けするというものです。その後の受精と着床は自然にまかせるため、一般的に成功率は5~8%(※)といわれています。そのため、人工授精の方法は、複数回行う方が多いのが実情です。
人工授精の場合、複数回行うことは可能ですが統計的には一定回数以降の人工授精で妊娠の確率が下がると言われています。そのため数回行っても妊娠できなかった場合には、体外受精などの別の不妊治療を病院からすすめめられるケースがあるようです。
また、排卵誘発剤を使っている場合は、多胎になりやすかったり、女性の身体に負担がかかる場合もあります。女性の年齡や身体の状態を十分に考慮して行います。
- 1
- 超音波や検査薬で、女性側の排卵の時期を予測します。
- 2
- 自宅あるいはクリニックの個室で、男性側がマスターベーションで精液を
採取します。自宅の場合は、容器に入れて病院に持参します。
- 3
- 採取した精液を処理・調整し、雑菌等を取り除きます。
- 4
- 採処理した精液を細く柔らかいチューブに入れ、子宮の内腔に注入します。
一般的に、女性側の痛みはほとんどありません。
- 5
- 処置後、すぐに帰宅可能です。その後、妊娠判定を待ちます。
人工授精の・・・
- メリット
-
- 施術時間は短く、最も自然に近い方法で妊娠できる
- 一般的には女性の痛みも少ないので、不妊治療の中では行いやすい
- 女性側の身体への負担が他の治療に比べて少ないので、基本的には何回でも行える
- デメリット
-
- 人工授精は何回でもできるが、7回目になると妊娠確率が下がるといわれている
- 排卵誘発剤を使うと多胎の確率が上がり、女性側の身体への負担がかかる
- 健康保険は対象外となる。治療費の負担がかかってくる
体外受精【たいがいじゅせい】
体外受精とは、卵子と精子を体外で自然に受精させる方法です。体外
受精でうまくいかない場合は、顕微授精へ進むケースが多いようです。
人工授精を試してもうまくいかない場合や、卵管が左右ともに詰まっている場合は体外受精を行います。卵子は、膣を通して卵巣に細い針を使って慎重に、精子はマスターベーションでそれぞれ採取します。その後、シャーレのなかで自然に受精させるというのが、一般的な体外受精の方法です。
通常はホルモン剤で卵胞を採取し、受精卵をつくります。複数の受精卵を凍結保存し、女性が着床しやすいホルモン状態になったタイミングで受精卵を子宮内にもどします。
「体外受精だと、子どもに障害が出てしまうのでは…」と心配される方がいるかもしれませんが、現在、体外受精で生まれる子どもは約27人に1人といわれています。すでに400万〜500万人が体外受精で誕生し、とくに影響はないといわれています。成功率は女性の年齢とともに下がり、人工授精よりも女性の身体の負担、身体の痛みが大きいとされる方法です。治療費のこともふまえ、よく考えてから治療の選択をする必要があるでしょう。
- 1
- ホルモン剤(注射・内服薬)を投与して卵胞(らんほう)を育てます。
- 2
- 卵胞の成長を確認後、さらに薬で卵子の成長を促します。
- 3
- 投薬から約1日半後に膣から細く長い針を使って、卵巣まで到達させ、
排卵直前の卵胞を吸引します。
- 4
- 自宅あるいはクリニックの個室で男性側がマスターベーションで精液を
採取します。自宅の場合は容器に入れて病院に持参します。
- 5
- 卵子に精子をふりかけて、シャーレ上で自然に受精させます。
- 6
- 受精卵を子宮内にもどします。あるいは、受精卵をいったん凍結保存し、
次の生理周期以降で子宮内膜の状態がよくなった時点で受精卵を融解し、
子宮内にもどします。
これまでの調査では、体外受精で生まれた子どもがダウン症や障害を持って生まれたり、奇形になるという数値的な報告データはありません。
しかし、体外受精を行う方は高齢出産になる場合が多くなります。体外受精自体のリスクより高齢出産のリスクを意識しましょう。自然妊娠も、同じように障害などのリスクが高まるとされています。
一般的に、男性側の精子の質を高めること、女性側の卵子をうまくマッチングさせることで妊娠率は高まるといわれます。男性は精液検査を含めたブライダルチェックを早めに受けて自分の身体の状態を早めに知ることが肝心です。
また、日々の食生活や生活習慣を見直し、偏りがないように心がけましょう。
体外受精の・・・
- メリット
-
- 自然妊娠が難しいカップルにも希望が持てる
- 人工授精で叶わなかった場合の方法として選択肢に入れられる
- 精子の数が少ない場合に効果的
- デメリット
-
- 治療にかかる費用が高い
- 女性側の身体への負担が大きい
- 必ずしも成功するわけではないので費用・身体的な負担をよく考えてから行う必要がある
顕微授精【けんびじゅせい】
卵子1個に対して精子1個を直接注入する方法。体外受精の一部になりま
すが、通常の体外受精よりも一歩踏み込んだ治療法です。
卵子と精子を体外で自然に受精させる「体外受精」でも妊娠に至らない場合、体外受精のさらなるステップとして行うのが「顕微授精(けんびじゅせい)」です。また、男性側に重度の精子減少症や乏精子症がみられた場合にも勧められます。
顕微授精は、体外で受精を行うことから体外受精の一部といえますが、「人工的に精子を卵子の中へ注入し授精させる」という点では、一歩踏み込んだ治療法といえるでしょう。
採取した精子の中から、特に良好な1個の精子を選んで、卵子の中に注入するため、人工授精や体外受精よりは、人為的な方法といえます。
ステップとしては、体外受精の流れと同じ。卵子に精子をふりかけて自然に受精させる際に、良好な1個の精子を選んで人工的に卵子のなかに注入します。
- 1
- ホルモン剤(注射・内服薬)を投与して、卵胞(らんほう)を育てます。
- 2
- 卵胞の成長を確認後、さらに薬で卵子の成長を促します。
- 3
- 投薬から約1日半後に膣から細く長い針を使って、欄朗まで到達させ、
排卵直前の卵胞を吸引します。
- 4
- 自宅あるいはクリニックの個室で男性側がマスターベーションで精液を
採取します。自宅の場合は容器に入れて病院に持参します。
- 5
- 卵子に精子をふりかけて、自然に受精させます。
- 6
- 受精卵を子宮内にもどします。あるいは、受精卵をいったん凍結保存し、
次の生理周期以降で子宮内膜の状態がよくなった時点で受精卵を融解し、
子宮内にもどします。
有名人の高齢出産のニュースを耳にして、「自分たちもまだ大丈夫」と妊活を先延ばしにする夫婦(カップル)が増えています。ところが、女性側の身体の変化として年齡とともに卵子の機能低下が進み、自然妊娠だけでなく不妊治療の成功率まで低下してしまうという現実があります。
体外受精の妊娠率は、女性が30代前半までの場合は37%ですが、後半になると30%程度、40代前半で15%、40代後半ではひと桁に落ちてしまいます。
45歳以降は、数値としてはほとんどゼロに近い状態です。また、年齢が上がるほど、ダウン症が発症する可能性も高くなります。
ダウン症の子供が生まれる可能性は、20代に比べて35~39歳は約7倍、40~44歳は約24倍、45歳以上では約84倍になるといわれます。
参考:日本産科婦人科学会「生殖補助医療データブック」
不妊の原因は女性側の問題と捉えられている風潮があり、男性側のチェックが遅れている現状がありました。男性側のチェックが遅れることで時間が経過し、女性側の身体の負担や治療にかかる出費が多くなってしまうというのは避けられない現実です。
不妊治療の分野において研究が進み、治療方法が進歩したことによって確かに妊娠率は上がることがありますが、不妊治療をすれば必ず妊娠できるとは限りません。
人工授精・体外受精・顕微授精があるから大丈夫と思い込まずに、女性側・男性側の両方で検査を受けることが大切です。
男性の精子も、年齡とともに問題が起きやすくなってきます。
パートナーの年齡も考えて、男性側も早めのチェックを!
男性の場合は、女性の卵子の老化と同様に、男性の精子も年齡とともに問題が起きやすくなってきます。妊娠の可能性・治療の選択ということでは、男女で年齡が上がると比例して、どんどん狭くなってくるといえるでしょう。男性の精子に関しては、濃度・運動速度、活発度の衰えは、見ためではわかりません。
専門の医師による精子・精液検査(=ブライダルチェック)を行なうことで、正確にいまの状況を知ることが可能です。治療方針や生活習慣の改善など、自己流ではなくきちんとアドバイスを受けることが早道といえるでしょう。
不妊の原因の約半分は男性側が原因。正確で安全
な検査を行う専門クリニックで精子検査を行うこ
とでよりよい妊活が行えます。
検査結果をもとに専門の男性医師がアドバイス。
その場で治療方針を定めていくことが可能です。
「不妊の悩みがありながら婦人科での治療を躊躇している方」や「性機能チェックを行いたい方」、「結婚」や「新たな家族形成」をお考えの方は、不妊治療のできる男性専門のクリニックへご相談ください。
問診・血液検査・精液検査にて、自分の現在の状態や精子の動きなどを正確に知ることが可能です。男性がブライダルチェックを行うことで、子どもができる身体なのか、できにくい体質なのかをチェックできます。検査後は国内でも有数の日本生殖医学会認定の専門医師が一人ひとりアドバイスを行い、そのまま治療に進むことも可能です。
妊活中の男性はもちろん、今後結婚を考えている独身男性、第1子が生まれてその後なかなか子どもができない…と気になっている方、すべての方が対象です。
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Dクリニック東京 メンズ(旧メンズヘルスクリニック東京)は、婦人科での不妊治療やブライダルチェックをためらっている方のための男性妊活外来を設立しております。
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婦人科での不妊治療やブライダルチェックに行きづらい方は、まずは当院にお問い合わせください。日本生殖医学会の指導医が適切なアドバイスをし、安心で安全な治療やアドバイスをご提供、ご提案します。
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- 2019/11/15
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- 2019/06/27
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- 2018/01/31
- 2018年2月6日放送のNHK「クローズアップ現代」にDクリニック東京 メンズの辻村医師が出演予定です。